取扱商品

樹脂・エラストマー

カイナー®(Kynar®)

概要

  • Kynar®はARKEMA社のPVDF、ポリフッ化ビニリデン樹脂です。
  • Kynar®は、ARKEMA社で生産されているVDF(フッ化ビニリデン)のホモポリマーおよび、そのコポリマーの商標名です。
  • Kynar®ホモポリマーは、右図に示した構造を有する結晶性ポリマーで、フッ素含有量約59%、融点は約170℃です。
  • Kynar®コポリマーは、VDFと右図に示すHFP(ヘキサフルオロプロピレン)とのランダムコポリマーです。

特長

  • 成形加工が容易(抽出、押出、ブローなど)
  • 加工時および使用時の優れた熱安定性
  • 広い使用温度域(-50℃~150℃)
  • 優れた耐薬品性と耐放射線
  • 優れた耐候製(紫外線照射にも安定です)
  • 高い耐摩擦性(スラリー状の化学薬品にも耐えます)
  • 良好な機械的特性
  • 優れた電気特性
  • 優れたガスバリア性

成形法

  • Kynar®は、熱可塑性ポリマーで、次のような温度特性をもっています。
    結晶融点 170℃
    形成温度範囲 180~300℃
    分解温度 375℃
  • Kynar®は、フッ素樹脂中最も形成性が優れ、圧縮形成、射出形成、押出形成(丸棒、パイプ、チューブ、フィルム、繊維)、ブロー形成など、通常用いられるいろいろな溶融形成法で形成加工が可能です。
  • 分解温度375℃に達すると、高分子鎖は急速に分解して、フッ酸を遊離し始めるので注意が必要です。しかし通常の形成加工温度はこれよりはるかに低く、Kynar®は安全に加工することができます。
  • Kynar®の成形にあたっては、クロム鋼、ステンレスまたは窒化鋼製の普通の押出成形機、射出成形機が使用できます。他のフッ素可塑性樹脂が必要とするハステロイの様な高価な金属を必要としません。
  • Kynar®は、吸湿性が低いので、原料の予備乾燥は必要ありません。
  • 成形温度条件は、グレード、成形方法、成形機仕様、目的によって異なりますので、通常の溶融成形に参考となる溶融特性のデータを次のグラフに示しました。

主要グレードと特性ダウンロード

耐薬品性ダウンロード

応用例

Kynar®は、その特徴を生かして、化学機械、包装材、ケーブル被覆、電池、塗料、フィルムなど多くの分野で使用されています。

● 化学機械
耐薬品性に優れ、比較的高い温度での使用が可能なため、各種の腐食性物質(特に塩素、臭素、塩酸、フッ酸、硫酸など)に接触する機械装置(配管、継ぎ手、熱交換機、フィルター、ポンプケーシングなど)に使用されます。
● ケーブル被覆
Kynar®は、電線やケーブルの被覆材としても数多くの実績があります。特に、橋、石油工業、航空、原子力工業などで、耐候性や耐腐食性、耐放射線性などを生かして使われます。Kynar®は吸湿性が低いので、原料の予備乾燥は必要ありません。
● 電池用バインダー
電気化学的に安定で、電解液として使用される溶媒への耐性が高く、また特定の溶媒に溶けるため、リチウムイオン電池用のバインダーとして使用されます。
● フィルム・共押出成形品
Kynar®は、鋼板や他の樹脂などの表面保護被膜として使われます。特定の溶媒に溶けるため、リチウムイオン電池用のバインダーとして使用されます。
● 塗料
Kynar®は表面が美麗で、耐候性や耐腐食性が優れることから、プレコート鋼板などの塗料の基材として広く使われています。特に高層建築物の外壁や屋根の塗料として好適です。

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